血中乳酸濃度を実際に測ってみた

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協力して頂いたのは、ジャパンプロツアー(JPT)に参戦しているシエルヴォ奈良の西沢選手です。先日開催された大磯クリテリウムのエリートクラスで見事優勝したところです。

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測定の方法は、2分間を一定のペースで漕ぎ、次の1分間で測定し、20Wずつアップしていき、踏み続けられなくなるまで行うというものです。15分間のウォーミングアップ後180Wからスタートしました。あまり詳細の結果はご報告できませんが、西沢選手の場合、血中乳酸濃度が2.6mmol/L(実測値)あたりが、乳酸閾値であることがわかりました。GoMoreの予測数値との比較において、閾値を超えた後の急激な血中乳酸濃度の上昇カーブは、GoMoreの予想カーブとほぼ近似となりました。ちなみに、GoMoreでは、血中乳酸濃度の絶対値は予測出来ませんので、閾値と思われる値で絶対値を調整してます。(このグラフは、アプリケーションで測定される値を加工して作成しています。)

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運動時の血中乳酸濃度を測定するにあたり、乳酸値の絶対値を比較してもあまり意味はありません。乳酸値が急激に変化する負荷レベル(乳酸閾値)と最大の血中乳酸濃度と想定される負荷レベルの相対的な遷移の度合いが重要となります。これは、同じ条件下でも人により血中乳酸濃度にばらつきが見られることによります(ただし、便宜上乳酸閾時の血中乳酸濃度を仮に4mmolとする場合が多い)。結局は、実際に血中乳酸濃度を測っても、プロットしたグラフのグラフの傾きを見て運動強度と疲労具合を予測することになります。

 

 

乳酸性閾値(LT)とは何か?

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改めまして、乳酸閾値(LT)とは何かを簡単にご説明したいと思います。

運動の強度を上げていく時、血中乳酸濃度が劇的に上がり始めるポイントのことを乳酸閾値と言います。この時、呼吸が激しくなるような生理学的変化が起こり、エネルギーを大きく消費し始めます。一般的には、約1時間の運動を持続できるペースと言われています。血中乳酸濃度は、人それぞれその時の状態により変化するため絶対値は重要ではありません(ただし、4m/molをOBLA:血中乳酸蓄積開始点として便宜上、乳酸閾値とする場合もあるようです)。

運動の強度を計る方法として、酸素摂取量、心拍数、血中乳酸濃度が一般的ですが、その中でも、乳酸性閾値は選手のパフォーマンスを予測できるものとして、最大酸素摂取量(VO2Max)よりもはるかに優れているという研究結果が出ています。また、乳酸性閾値は、VO2Maxよりもトレーニングによって変化しやすいため練習の成果を判断するための指標として最も適していると言えるでしょう。

トレーニングの成果を知りたい人は、タイムを見るだけでなく、乳酸閾値を定期的に計ることをお勧めします。なお、GoMoreを使った乳酸閾値の測定方法の実例は、次回のブログにてご紹介する予定です。

 

 

スタミナとは?

最近、スタミナって何?とよく聞かれるので簡単にまとめたいと思います。(詳細な説明は、ホワイトペーバーをお読みください)

結論から言いますと、スタミナとは主観的運動強度と、その時点での負荷を継続した時に到達できる距離の二つの指標のことです。

まず、オールアウトの状態がスタミナゼロとなります。要するにもう走れない状態をスタミナゼロとしています。それでは、スタミナXXパーセントとはどういうことでしょうか。これは、主観的運動強度(RPE)に基づいた数値となっています。

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主観的運動強度とは、主観的な疲労度をパーセンテージで表現したものです。この指標は、運動強度を測る時によく使われるものです。感覚的な指標に見えますが、この感覚に連動する科学的な数値計算(血中乳酸量、エネルギー消費量等)は存在しています。表を見ていただければわかりますが、スタミナが20パーセントの時には、主観的運動強度は、”たいへんつらい”状態です。更に、GoMoreにおけるスタミナの意味は、継続運動可能距離という指標をプラスしていることにあります。

 

有酸素性エネルギー、無酸素性エネルギーとは?

運動中の画面に表示される『有酸素性エネルギー』、『無酸素性エネルギー』の2つのバーについてです。

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有酸素性エネルギーとは、有酸素運動系で生じるエネルギーの度合いを示しています。
グリコーゲン、グルコース、乳酸、脂肪からアセチルCoAが生成され、TCA回路と呼ばれる生化学反応経路により、ミトコンドリア内でアセチルCoAが酸素を消費する過程でATP(アデノシン三リン酸)合成により生じるエネルギーで、長時間連続して運動することができます。

無酸素性エネルギーとは、無酸素運動系で生じるエネルギーの度合いを示しています。
解糖系と呼ばれる生化学反応経路により、グリコーゲンがグルコース、ピルビン酸を経て乳酸に分解される過程でATP(アデノシン三リン酸)合成により生じるエネルギーで、運動開始初期に利用されます。

GoMoreスタミナセンサーを使ったトレーニングでは、この2つのバーを同じ程度でバランス良く消費させていくことが大切です。