乳酸性閾値(LT)とは何か?

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改めまして、乳酸閾値(LT)とは何かを簡単にご説明したいと思います。

運動の強度を上げていく時、血中乳酸濃度が劇的に上がり始めるポイントのことを乳酸閾値と言います。この時、呼吸が激しくなるような生理学的変化が起こり、エネルギーを大きく消費し始めます。一般的には、約1時間の運動を持続できるペースと言われています。血中乳酸濃度は、人それぞれその時の状態により変化するため絶対値は重要ではありません(ただし、4m/molをOBLA:血中乳酸蓄積開始点として便宜上、乳酸閾値とする場合もあるようです)。

運動の強度を計る方法として、酸素摂取量、心拍数、血中乳酸濃度が一般的ですが、その中でも、乳酸性閾値は選手のパフォーマンスを予測できるものとして、最大酸素摂取量(VO2Max)よりもはるかに優れているという研究結果が出ています。また、乳酸性閾値は、VO2Maxよりもトレーニングによって変化しやすいため練習の成果を判断するための指標として最も適していると言えるでしょう。

トレーニングの成果を知りたい人は、タイムを見るだけでなく、乳酸閾値を定期的に計ることをお勧めします。なお、GoMoreを使った乳酸閾値の測定方法の実例は、次回のブログにてご紹介する予定です。

 

 

ランニングのトレーニングの強度

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トレーニングの強度の分け方は幾つかありますが、ここでは、ジャックダニエルズ氏が提案した方法を紹介します。GoMoreを使った場合での各強度の実現方法も記述しました。あくまでも目安ですので、神経質にならないことがコツです。特に心拍数は、様々な要因のため範囲内に収めることは難しいかもしれません。なお、トレーニングのボリュームは、E : T : I or R が 7:2:1が目安となるでしょう。

E:イージー

目的:細胞レベルの適応を促し心血管系を発達させる

強度(最大心拍率):65%〜79%

GoMoreでの指標:無酸素エネルギーが減らないまま走り続ける

M:マラソン

強度(最大心拍率):80〜90%

目的:マラソンのレースコンディションを経験する。イージーペースの代案。

GoMoreでの指標:無酸素エネルギーが少しずつ減る。スタミナが1時間以上30パーセント以上を維持できる。

T:閾値

強度(最大心拍率):88〜92%

目的:持久力を向上させる

GoMoreでの指標:無酸素エネルギーが減り続ける。スタミナが1時間で0になるレベル。

I:インターバル

強度(最大心拍率):95〜100%

目的:有酸素パワー(VO2Max)を刺激する、有酸素性機構にレースペースの刺激を与える

GoMoreでの指標:無酸素エネルギーが急激に減る。

R:レペティション

強度(最大心拍率):1マイルのレースペース、コントロールした早いペース

目的:スピードのランニングの経済性を向上させる

GoMoreでの指標:無酸素エネルギーが急激に減る。


 

参考文献 ジャックダニエルズ. ダニエルズのランニング・フォーミュラ. ベースボール・マガジン社. 2015

一般レベルのランナーの基本的なトレーニング

トレーニングを考える時のポイントは、強度、時間、繰り返しの頻度と1週間当たりのボリューム(総運動量)です。更に、食生活も非常に重要なトレーニングの一つと考えた方が良いです。(あまり神経質になりすぎない方が良いですね)

ここで、トレーニングメニューを作る時に重要なポイントは、何を目的とするのかということです。この目標を設定するというのが、一般ランナーには難しいのでは無いでしょうか。単に楽しく気持ちよく走って、健康が維持できれば良いという人は多いでしょう。

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その場合、基本的なトレーニングとして、スロージョグと乳酸閾値レベル走をお勧めします。スロージョグについては、最大心拍の80パーセント以下のレベルでとにかく楽に走れることを意識します。GoMore的には、無酸素エネルギー消費をほとんどゼロにして走るレベルです。効果を上げるには、ある程度のボリューム(時間)が必要ですが、これもあまり意識せずできる時間でなるべく多くの時間を費やしてください。有酸素エネルギーは少しずつ減っていきます。心拍を上げたり追い込んだりする必要はありません。

乳酸閾値レベル走は、少しきつい感じがする走り方ですが、乳酸閾値を超えたあたりから、アドレナリンが出始めいわゆるランナーズハイの状態になりやすくなります。すなわち、走っていて気持ちが良いというゾーンでもあります。幸せホルモンと言われる脳内伝達物質のセロトニンも出ますので、メンタル的にも効果があります。GoMore的には、無酸素エネルギーが少しずつ減っていく強度になります。競技志向のランナーにとっても、最も多く時間をかける強度だと思われますが、競技を意識しない一般ランナーは自分のレベルによって週一回でも取り入れてみると良いかと思われます。

たった二つのトレーニングメニューですが、モチベーションにもフィジカルの面でも大変大きな効果が期待できます。一つ重要なことは、3ヶ月ぐらい同じメニューでやってみて、効果を見て違ったメニューを考えることです。

ちなみに、これらのトレーニングをすることによって、遅筋線維のミトコンドリアを増加させ、様々な組織を活性化し、脂肪をより効果的に消費できるようになります。

一般的には、7対2対1の割合で、スロー、LTレベル、より強いレベルのトレーニングの時間を割り当てると効果的と言われています。(強いレベルのトレーニングについては別のページにて説明します)